ヨナオシクス

まったり三十代フリーライター(ワープア)が様々なことを調べています。主なソースはWikipediaとYoutubeです。

道徳再武装と戦後日本。そして、アルコールアノニマス。

数年前、変わった特集をテレビで見たことがあった。

それは、MRA(道徳再武装)と呼ばれる団体についてのものだった。

最近、その動画をyoutubeで見つける。

www.youtube.com

 

MRAとはこんな団体だそうだ。

 

 道徳再武装(どうとくさいぶそう、英語: Moral Re-Armament、略称MRA)は、1921年にメソジストのフランク・ブックマン牧師率いるオックスフォード・グループが発展する形で発足した、国際的な道徳と精神を標榜する運動である。1938年に現在の名称となった。以後、ブックマンは1961年に死去するまでの23年間にわたりMRAを率いた。

MRAはキリスト教に端を発し、あらゆる宗教や社会的背景に属する人々によって構成される非政府の国際ネットワークである。MRAは、「4つの絶対標準」と呼ばれる考え方に則っている。MRAはその支持者に対して、政治的活動や社会的活動に参画することを奨励する。

道徳再武装 - Wikipedia

 

第二次世界大戦後、不安定な世界情勢を平定するため暗躍した団体で、日本においても政界、財界の大物が関わりを持っていたとのことだ。

 

番組の中で気になったポイントが「広島市長が渡米した際行った原爆に関するスピーチを捏造した」疑惑があることと、「日本企業の労使協調路線へ影響を与えた」ことだった。

 

MRAは共産主義の躍進を阻止したい思いがあったという。なぜなら共産主義は神を否定するものだから。MRAの活動を理解する上で「反共」がとても重要なキーワードとなる。

 

平和を享受していると忘れがちだが、日本は敗戦国として戦後の冷戦体制下をスタートしている。日本の役割は「反共の橋頭堡」であり「後方の生産基地」だったのだと思う。

 

当時の日本は学生運動しかり、労働組合の運動も今とは異なり過激なもので、それらを沈静化したい企業の経営者と共産主義の力を弱めたいMRAの目的が一致した結果生まれた産物が「労使協調」だったということだ。日本を代表する名だたる企業がMRAとのつながりを持っていたというのは大変興味深い。

 

労使協調は右肩上がりの経済成長が続いていた期間は実際に効果があったのだと思う。しかし、経済状況が停滞してくると労使協調から「労使迎合」へその姿を変えていったのではないだろうか。そして、この名残が少なからず今の日本の労働環境に悪習として残っているのだと思う。

 

赤狩りなど共産主義弾圧をしていたアメリカの方が、反共の最前線であったはずの日本よりも労働組合が強いというのは皮肉な話だと思う。

 

また、特筆すべき点はこの団体の創立者である「フランクブックマン牧師」が、「アルコールアノニマス(通称:AA)」と呼ばれるアルコール依存症治療プログラムの生みの親でもあるということだ。

 

f:id:yonaosix:20180929210405g:plain

Frank Buchman - Wikipedia

 

アルコール依存症者のバイブルでもある吾妻ひでお氏の「アル中病棟」にも登場するAA。活動内容のところどころに宗教的な匂いがすると書いてあったが、その洞察は正しかったようだ。

失踪日記2 アル中病棟

失踪日記2 アル中病棟

 

 

さらに、企業の新入社員が会社から薦められる「7つの習慣」という定番の本があるが、あの中にもアルコールアノニマスで用いられるニーバーの祈りが引用されていた。希望に満ちた新入社員とアル中が同じ内容で啓発されているのはシュールだなと思う。

 

神よ、天にまします父よ、私たちに変えられないものを受け入れる心の平穏を与えて下さい。変えることのできるものを変える勇気を与えて下さい。そして、変えることのできるものとできないものを見分ける賢さを与えて下さい。われらの主、イエス・キリスト。アーメン。 

ニーバーの祈り - Wikipedia

 

 

新入社員を7つの習慣で啓発して、労使協調が浸透したブラック企業で働き、体を壊してアル中になってアルコールアノニマスに救われる。

 

労働者もアル中も神は優しく平等に包み込んでくれるということかな。

やさしさに包まれたなら

やさしさに包まれたなら