ヨナオシクス

まったり三十代フリーライター(ワープア)の活動日記です。お金と愛が不足しています。

闇金ウシジマ君の作者がドラえもんに影響を受けている件

闇金ウシジマ君という漫画がある。

 

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かわいらしいロゴが表紙を飾るものの、それを無視するかのようにその内容はグロテスクでありとても「リアル」である。

 

ストーリー自体は街の金融業者である丑嶋馨(うしじま かおる)」が、自身が経営するカウカウファイナンスへ金を借りに来る債権者へ取り立てをするとてもシンプルなものだ。

 

金を借りに来る客の職業や特徴毎に章立てされていて「フリーターくん」「サラリーマンくん」「ホストくん」「トレンディくん」など「くん」づけで彼らを呼んでいる。ただ、この「くん」は親しみをこめた「くん」でないことは自明である。

 

この漫画がナニワ金融道ミナミの帝王など他の金貸し漫画と異なる点は、人物描写の緻密さとその周辺環境の生々しさにある

 

「うわ、これ自分じゃん」とこの本を読んだ人の中には自分の事を描かれていると感じる人がいるほどだ。

 

自分自身フリーターくんの気持ちが痛いほど分かり、彼と同じセリフを言っていたことがある。サラリーマンくんの悲哀も理解できる。トレンディくんは掃いて腐るほど目にしたし、ホストくんのような職業の人も身近にいる。

 

ただ、この作品は絶望だけではなく、時折一筋の「希望」を持たせて終わることがある。その一筋の希望が不思議ととても明るく見えるのである。

 

例えるなら真っ黒に染めた紙に一滴の白い絵の具を垂らすと、それはなによりも白く見えるかのように。

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では、本題に入ると闇金ウシジマ君の作者は幼少期にドラえもんを読んで感銘を受け漫画家を目指した」Wikipediaで読んだことがあり、当時作品をパラパラとしか読んでいなかったためその理由が分からなかった。

 

 

「あの重苦しい作品のどこにドラえもんの要素が。。」

 

 

しかし、最近その理由がやっと分かる。

ヒントはドラえもんの話の一つにあった。

 

 

作中、ドラえもんがとある事情で未来に帰らないといけなくなってしまう。日頃ドラえもんに助けられてばかりの、のび太くんは未来に帰るドラえもんに心配をかけないようにとジャイアンに秘密道具を使わず立ち向かう。

 

結果的にのび太くんはジャイアンにボロボロにされてしまうのだが、ドラえもんはその奮闘を「よく頑張った」と涙を流して褒め称えながら二人で家路に着くといったものだった。

 

ウシジマくんもドラえもんと同じように、素のままの自分に自信のないのび太くんのような人々が「博打」「女」「男」「洋服」「ステータス」など自分を強くしてくれる秘密道具に頼るところから物語は始まる。

 

ドラえもんと違うのは現実の秘密道具は「金」がかかる。

結果としてそれらを維持できなくなった彼ら債権者は「ウシジマくん」という名のドラえもんに秘密道具を買う金を無心する。

 

しかし、ドラえもんが未来に帰ってしまうように、ウシジマくんも最後は彼らへの貸付を止め貸した金の回収に入る。

 

尻の毛も抜かれてしまうほどに彼ら債権者は何もかもを失ってしまうが、それと引き換えに「ありのままの現実」に向き合う力を手に入れる。

 

ドラえもんがポケットから取り出すど派手な秘密道具や、ウシジマくんの血に濡れたグロテスクな描写につい注意が行きがちになるが、両作品が伝えたいメッセージは実はここにあるのではないだろうか。

 

見たくないものに目を向けるためには、一度全てを失わないと気がつかないということかな。。

 

どちらも人の弱さと強さを描いた傑作だとは思う。

 

闇金ウシジマくん 43 (ビッグコミックス)

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